イワタの工場見学に行ってきました。

私は何度も行っていますが妻は初めてです。やっぱり行くと「らくだの敷ふとん」の良さが実感できます。

イワタがキャメル敷パッドを発売したのが約40年前。当店の販売開始はその5年後くらいです。たくさん思いであります。

遊牧民の育てたラクダの毛は2種類あります。内モンゴル産と外モンゴル産です。ラクダのいるゴビ砂漠は中国とモンゴルの2ヶ国をまたいでいるのですが、中国側とモンゴル側で毛の色が少し違います。(毛質に違いはないそうです)それらを

❶「ブレンド」することからスタートします。

モンゴル側

中国側

残念ながら写真はここまで。多くの特許技術を持つ会社の工場は撮影厳禁、何かとベールに包まれています。(以降文字だけですみません)

毛の洗浄はモンゴルで行っています。モンゴルは、主にカシミヤ、キャメル等獣毛繊維の生産、流通を収入源としていますから洗浄技術は確かです。ですからイワタのキャメル工場内は独特の毛の臭いはしません。でも、「梅雨時や夏はやっぱり匂いはしますよ。耐久性のための油脂分は残しますから。」とのことです。

ブレンドが終わると、早くもイワタの企業秘密である

 

❷「イオゾンアルファー2処理」技術が登場です。

洗浄では落としきれなかった傷んだ毛やブッシュ(砂や草)を取り除く工程です。

ラクダの毛は、ラティスというベルトコンベアーに乗って、毛をほぐしながらゴミを落とします。傷んだ毛やブッシュなど大きいゴミは下段に、ホコリのような細かなゴミはバックフィルターという集塵機を使って上段から吸います。この工程を2回行います。

「これで毛のお掃除終了!」

ではありません。イワタは徹底的にきれいにします。

さらに微細な夾雑物は遠心力を使って取り除きます。簡単に言うと洗濯の脱水機です。タンクの中で毛が高速回転で浮遊しています。機械はどうしても静電気が発生して、毛にゴミが吸い付いてしまいます。そこでイオン化した空気を毛に放射することで、静電気を除去してゴミを取り除きます。この処理により、キャメルの敷パッドはぜんそく、気管の弱いアレルギーの方も安心なのです。

最後にホッパーという機械の中で、毛をほぐしながらゴミを取ります。毛の状態は機械の中なので見えませんが、らくだの毛はフワフワになっているそうです。

「お掃除終了!」そして、ようやくラクダの毛は

 

❸「カード機」に入ります。

「カード機」というのは繊維をそろえる機械です。例えると、朝起きた寝ぐせの髪をきれいにブローするような工程です。厚さ数mmの薄いキャメルシートを作ります。シングルサイズの場合は毛布くらいの大きさで出てきます。綿菓子のようにふわふわ~。セミダブル、ダブルなどの「幅」をここで調節します。

 

❹「整形」と言って「厚さ」をそろえます。

1枚厚さ数mmのキャメルシートをミルフィールのように10層に重ねて1枚(1㎏)を作ります。キャメル敷パッドシングルサイズレギュラー(3㎏)は,カットする分があるので4枚使います。ですからキャメルシート40層からできていることになります。

 

❺「計量」です。

どんなに高性能のカード機でも、1枚のキャメルシートがすべて正確に1㎏とは限りません。ヘアーとウール2種類の毛は、太さが違いますし、長さも均一ではありません。キャメルシートは微妙ですが重さに違いが出ます。その誤差の調整は熟練した職人の手で行います。

 

❻「検針」をします。

薄いシート1枚ずつ検針機に掛けます。シングルサイズ分重ねてから検針機にかける方が楽ですが、それだと厚くなってしまい微量の鉄粉が反応しなくなるので、手間だけどそうしているそうです。キルトを掛けてから検針すると、もし不合格の場合解体しないといけません。それは大変ですから最初に行います。(夾雑物処理工程でほぼ鉄粉は取り除けるそうです。)

 

❼「仕立て」です。

キャメルシートは職人二人で重ねます。「シングルレギュラー3kg入りの場合、キャメルシート1枚1㎏だから3枚重ねれば3kg・・・」そう単純ではありません。厚みにムラがないか確認するのは人の手だそうです。さらにヘタリやすい中心部分の厚みを出す作業は、機械ではできない職人の業です!

 

❽「計量」も行います。

先ほどの1枚のキャメルシートの計量とは少し違います。最後の工程で周りをヘム掛けする際、周囲をぐるりと断ち落さないといけません。その断ち落とす量が0.3㎏なのでキャメルシート1Kgを4枚重ねて4kgにして0.7㎏取り除きます。4kg-0.7㎏=3.3㎏の重量にします。厚さは結構ありますよ。約20cmでベッドマットレス位、ふわっふわっです。

 

❾「キルティング」です。

家が1軒建つ価格位の高価なコンピューターミシンです。卓球台より一回り大きなミシンに、側生地をセットして仕立てたキャメルヘアーをのせます。上から側生地でキャメルヘアーをサンドイッチします。そしてスイッチオン!すご~い、ハイテク~!特注サイズも簡単にできます。

 

❿「ヘム掛け」です。

職人さんがミシンで行います。見ていて気持ちが良いです。0.3㎏経ち落とします。作業がとても速い、さすが!

さらにここでも計量します。側生地が0.8kgですから、シングルサイズ総重量3.8kgになれば合格です。再び検針機にも通します。余念がありませんね。

 

⓫「記録」です。

「何年何月何日、シングルレギュラータイプ3kg入り、馬場さんに出荷」等、ご購入後、もしもの不具合が出た時のために、追跡調査できるように記録します。

 

⓬「イオゾンデルタ処理」を施します。

大きな業務用冷蔵庫?という表現しか思い浮かばなくてすみません。完成したキャメル敷パッドが、中で数分間ジーッとしています。

「これは当社の一番の企業秘密で、詳しくお話しできないんです。『イオンの力で、キャメルや側生地の繊維の分子構造を整理整頓させる』と、だけ言っておきます。」???ですよね。

「寝汗の吸収力アップのために開発した装置」だそうです。デルタ処理を施したタオルと、そうでないタオルの水の吸収力の違いを比べて見せてくれました。

あら不思議!何もしていない新品のタオルは水をはじいてしまいますが、なんと驚き!デルタ処理が施された新品のタオルは「スーッ」と水を吸収しているではありませんか!

「ふとんは汗を吸うのが仕事です」

とは、先代の社長のモットー。寝汗の吸収・発散にとことんこだわったイワタの世界に誇れる技術です。

 

最後に撮らせてもらったのが「キャメルヘアーのビフォーアフター」です。

製毛前

 

製毛後

製毛後はとてもきれいです。臭いも全くしません。柔らかくて頬ずりしたくなります。

冬暖かく、夏爽やか、ホコリが出ないのでアレルギーの方(ぜんそくアトピー)も安心して使えます。

間違いなく「究極に敷寝具」です。

ぜひ一度体験にいらしてください。お待ちしております。

私の備忘録にお付き合いくださりありがとうございました